レース名あれこれ


 ひとくちにレース名といっても色々とありますが、ここでは、地方競馬で施行されている重賞競走のネーミングについて、あれこれ講釈をたれてみたいな、と思います。(1999.7.20初版、2002.10.21改訂増補)  
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アフター5スター賞(TCK・1600m)サラ系3歳以上

 日本初のナイター競馬を開催した当時のTCKの関係者の熱い息吹と誇りとを感じさせるネーミングである。なんとも云えないカッコ良さと、世のサラリーマン対して、何かを訴えかけているような響きを感じる。

アラブギフ大賞典(笠松・1900m)アラ系オープン

 最近、私が一番ツボにはまってしまったのが、このレース名。普通に考えれば「岐阜アラブ大賞典」であろう。それが「アラブ」が先に来て、しかも「ギフ」とカタカナ……うーむ、謎である。この名称に何か哲学的な趣すら感じてしまうのは、私だけだろうか?

MRO金賞(金沢・2100m)サラ系3歳、金沢・東海・兵庫交流

 よく考えたら、金沢は私にネタにしてくれ、といわんばかりのレースが目白押しである。
 MROとは北陸放送のこと。なんでMROなのかというと、かつて北陸放送のラジオ局が石川県内に2つあった時のコールサインを合わせたものらしい。
 中央準オープン、中央900万下条件との交流競走から東海+金沢地区のJRA菊花賞トライアル出走馬選定競走となった複雑な経緯を持つ。


奥の細道大賞典(上山・2300m)アラ系オープン、ファン投票

 あれ、芭蕉は上山を通ったっけ?なんてことは言いません。とにかく、これは先に名付けた者の勝ち。上山競馬アラブ系最大のレース。


楠賞全日本アラブ優駿(園田・2400m)アラ系3歳、全国交流

 「アラブの日本ダービー」の別名通り、アラブ系4歳馬日本一を決める大レース。楠賞とは、楠木正成(大楠公)を記念したもの。この辺りからも「サラブレッドだけが競馬じゃない!」という気概を大いに感じさせていたが、兵庫までがついにアラブ締め出しに動きだし、昨年からはとうとう農林水産大臣賞典のタイトルも無くなり、アラブ系競走賞金日本一の座も譲り上足してしまった。

さきたま杯(浦和・1400m)サラ系4歳以上、指定交流GV

 指定交流における一連のダート短距離路線の充実を図る為、新設された競走だが、まさにJRAの為の重賞って気がする。
 それはともかくとして、名称の由来は「埼玉」の語源ともなった、幸福をよぶ勾玉――幸魂(さきみたま)が転じた「さきたま」から。こういうのを知っておくとレースが楽しくなるかも知れない。


スプリンターズ賞(高崎・1500m)サラ系3歳以上

 しかし、1500mのレースで「スプリンターズ賞」とするのは、果たしてどうなんだ、高崎競馬?!


ダービーグランプリ(盛岡・2000m)サラ系3歳、指定交流GT

 全国でダービーと呼ばれるレースは数多いが、元々は地方競馬の真の4歳No.1を決めようじゃないか、という趣旨の下、創設されたレース。そして今や統一GTである。そこへはJRA、そして何よりもTCKへのライバル心が見え隠れしているのは、言うまでもない。

尊氏賞(足利・1900m)サラ系5歳以上

 その名の通り、足利尊氏から名を取った。戦前だったら、まずあり得なかったレース名。

建依別賞(高知・1400m)サラ系オープン

 (たけよりわけ・しょう)と読む。建依別とは土佐の別名。古語的な響きを感じさせ、まさに「いとをかし」。高知競馬が世界に誇る、1400mコースで行われる。

二十四万石賞(高知・2100m)サラ系オープン

 おそらくは、金沢の百万石賞からヒントを得て、付けられた名称であろう。だけど約4分の1の石高と、約3分の1の賞金額が、高知競馬が現在置かれている状況を表しているようで、なんとも云えぬ哀愁を漂わせている、

農協牛乳杯(金沢・1500m)アラ系A級

 ここまでストレートだと、ツッコむ気力も失せる。もしやとは思うが、ひょっとして副賞は牛乳一年分?!

花吹雪賞(佐賀・1800m)サラ系3歳牝馬、四国・九州交流

 こういうネーミングって、やはり好きだな……と思う。
 JRA桜花賞TR出走馬選定競走。


ブルーバードカップ(FRT・1600m)サラ系3歳

 思いっきりベタだが、名称の由来は「幸福の青い鳥」から。元々はアラブ系のレースだったが、アラブ締め出し政策に伴い、レギュレーション変更。
 なんだかんだ云って、私はこういうのネーミングが好きなのかも知れない。


フロンティアスプリント盃(TCK・1200m)サラ系5歳以上

 今年新設された重賞競走。この名前を見た時、ついにTCKもここまで落ちたか、と感じてしまった。ダジャレで付けたとしか思えん。私としては、「メトロポリタンカップ」への改称を断固要求する!(この方が、余程TCKらしくて良いと思う)

平和賞(FRT・1600m)サラ系2歳

 間違えてもピンフ賞とは読まないよーに!(笑)
 昨年は、全日本2歳優駿の「残念」路線として12月下旬に行われた。が、理想を云えば、9月下旬あたりにやるのがベターなのでは、という気がする。
 でも、なんだかんだ云って、船橋の当時の主催者のネーミングセンスには、思想性を大いに感じさせるものがある。

ほくてつ賞(金沢・1900m)アラ系A級2・3組

 ほくてつとは、北陸鉄道のこと。京王から3000系車両を買い取って走らせているあたりが、何ともマニアックである。「ほくてつ」と略しているあたりに、なんとなく主催者の投げやりな姿勢を感じてしまう。ほくてつ自体は、地元の鉄っちゃんを中心に実に愛されているようだ。

ほくてつニューイヤーカップ(金沢・1900m)サラ系A級2・3組

 地元に愛される交通機関・ほくてつ――だからと言って、もう一つ作ることはないじゃないかと思う。こちらは歴史が新しい(今年の正月で6回目)。主催者の中にほくてつフェチでもいるのだろうか?

北陸三県畜産会長賞(金沢・1900m)サラ系A級2・3組

 「北陸」、「三県」、「畜産」、「会長」の語句がそれぞれ自己主張を展開し、けれん味のないローカル色を出している。


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