コラム001  恐るべし、末武里佳子!



 君は末武里佳子を見たことがあるか?!
 ――といっても首都圏に住んでないとムズかしいか……
 彼女は、テレビ東京のアナウンサーである。
 いわゆる女子アナである。
 現代の花形職業である。
 彼女は、昨年入社の2年目。慶應の経済卒でフィナンシャル・プランナーの資格を持ち、目下、税理士の資格取得と大学院進学を目指している才女――つまり、テレビ東京にしてみれば、ライオンズの「世紀末超獣」松坂みたいな存在であったようだ。
 ――で、彼女の一番の持ち味はズバリ「天然ボケ」(いや、もはやそれすら超越しているかもしれない)。
 彼女のしゃべりを聞いていると、自分の中の価値観や常識といった何かが崩壊していくのを感じる。邪念を抱く気力すらも削がれてしまうから、恐ろしい。
 よく某お台場や某麹町のTV局あたりで「私、天然ボケなんですぅ」などという女性がいるが、それが如何に軽率にして軽薄なセリフであるかかが、この末武アナをみれば、よーく分かるというもの。全く次元が違うのだから。
 そもそも彼女は知性に溢れた人だし、とても生真面目な人間なのだと思う。だから、おそらくは自分が「天然ボケ」であることに気付いていないだろうし、たとえ、そう指摘されても、本人は頑なに否定することであろう。
 彼女は今、夕方のニュースに登場しているが、或る時、「1000円でお菓子買い放題」の店を特集した時、彼女は山のように買い込んでいたのですが、そのVCRをみていた宮田キャスターが、「ところであのお菓子の山、あの後どうされたんですか?」という問いに対して、何の屈託も無く「ええ、一人で全部食べました」と答えた瞬間、宮田キャスターと、もう一人の大岡キャスターの眼がテンになっていた。このあたりから二人のメインキャスターは「このままでは(キャラクターで)食われる」と危機感を抱き始めたようだ。他に週1回程度で「素敵にワイド・ほっと10」のニュースに登場するが、そこでの松尾貴史とのセメントなやりとりは、平日の午前中から異様な世界を作り上げている。
 彼女がこれからしばらくはテレビ東京を支えていくのだろうが、楽しみなような、恐ろしいような……。

 ――ところで、今日の朝御飯は何を食べましたか?
 
(1999.7.7)

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