2007.2.14
ゴールデンジョッキーカップ@園田レポート


バレンタインデーなんか、撃ち砕け!?

 昨年、年間勝利数記録を塗り替えた内田博幸(TCK)。
 12月のJRA阪神・ワールドスーパージョッキーシリーズ(特に第3戦)の活躍も記憶に新しい濱口楠彦(笠松)。
 今や騎手交流戦には欠かせない存在となった内田利雄(浦和)、鮫島克也(佐賀)、武豊(JRA)。
 兵庫を卒業していった小牧太(JRA)、岩田康誠(JRA)。
 GJCは初出場となる吉田稔(愛知)、山口竜一(北海道)、鋤田誠二(福山)。
 そして、今は兵庫県所属となった有馬澄男、川原正一の12名が覇を競う「2000勝ジョッキー達のよる『魔性の祭典』」ゴールデンジョッキーカップ。
 15回目となる今回は、バレンタインデーを撃破すべく(スイマセン、ここちょっと私憤が入ってます)生憎の強風と雨の中での開催となったが、期待に違わぬ熱戦が全3戦に渡って繰り広げられた。

騎手交流戦の醍醐味

 このテの企画、とりわけGJCのようなトップクラスのジョッキーばかりが集まると、とにかくレース一つ一つの濃度が違う。
 ついでにいうと、近況不調の馬が、乗り代わりにより、突如として激走→馬券は大波乱となるケースもままあり、馬券大好き人間にとっても非常に予想が難しく、そこがまた面白さに繋がっている。
 実際、今回の全3戦全ての馬券獲れた人は、相当なツワモノでしょう。

 詳しいレースの模様は、そのだ&ひめじけいばの公式サイトで見てもらうとして――第1戦は日本の競馬の基幹距離ともいえる1400m戦。
 超小回り(1周1051m)の割に、比較的、差しや追い込みも決まる園田コース。
 ところが、初参戦・鋤田騎手騎乗のレッドインパルスは、捕まりそうで捕まらない。人気を集めたカシノモムチャン(吉田稔騎手)、キクノブラック(鮫島克騎手)らを完封して見事な逃げ切り勝ちを決めた。
 終わってみれば「行った行った」の競馬であったが、馬券的には小波乱。
 続く第2戦は、ロケットスタートを決めたメモリアルパンチ(山口竜騎手)が、レースを引っ張っていく展開。だが、2匹目のドジョウは、そうは居ないわけで、第3コーナー、坂の下りから吉田稔騎手のマイスイートプランが一気に強襲。直線での競り合いを制して、これまた初参戦の騎手が勝利。大接戦の2着争いは、リデレ(岩田騎手)、ベイリービッド(川原騎手)。人気どころが複勝圏内に来たものの、馬券的には、またしても小波乱。
 この時点で、吉田稔騎手が、連対パーフェクトで総合優勝争いのトップに立った。

ド迫力バトルの結末は――?

  しかし、初出場の二人が勝利したとなると、黙っていられないというか、自分が目立たなきゃ絶対に気が済まないというのが、この人――ミスターリチャードピンクこと内田利雄騎手。
 特にGJCとは異常なまでに相性が良く、総合優勝2回、2位1回を誇り、しかも園田ではファンに大人気と、今やGJCに欠かせない存在となっているのだけに、最終戦を前に「見せ場を作る」と堂々と宣言。
 果たして、迎えた最終戦、キャプテンオペラ(実は母がドラールオウカン)騎乗で「道中死んだふり→直線強襲」の得意パターンが、ものの見事に炸裂。2着以下に3馬身以上の差をつけ快勝。
 またしても大激戦と化した2着争いは、人気薄のウイングボーイ(鮫島克騎手)が飛び込み、連勝式は全て万馬券に。
 この勝利で一気にポイント差を詰めたものの、第2戦までの貯金が物を云い、合計40ポイント獲得の吉田稔騎手が総合優勝。またしてもMr.リチャードピンクの単独トップとなる3度目の総合Vは、お預けになりましたとさ。

初出場で初優勝となった吉田稔騎手は、表彰式の後のインタビューで――

「地元でリーディングでは無かったので、2000勝して、すぐに呼んでもらえたのは、嬉しかったですね。そこで優勝出来たのは、夢みたいです。最終戦を迎えた段階で、自分が優位にあったことは、分かっていましたが、着狙いでは乗らず、全力を尽くしました。やはり、関係者の方もいらっしゃいますし、自分勝手なことは、出来ませんよね。普段、園田で乗るときは、若い騎手が多いこともあって、怖い思いをすることもありますけど、これだけの名手が揃うと、後ろにつけていても、怖くないですね(笑)。くじ運も良かったのも勝因でしょう」

 ――と、文字通りの満面の笑みを浮かべて語っていました。



 一方、今回は無念の結果になった元宇都宮所属の二人は――

内田利雄騎手(総合2位)
「だから、ちゃんと見せ場は作るって言ったでしょ?今日は、馬場が徐々に濡れてきて、まさにボク好みの状態でしたしね(笑)。また準優勝ですか、前々回に続き、またしても最終戦で泣くパターンになってしまいましたね(苦笑)。この後は、もうちょっとマカオで乗る予定です」

山口竜一騎手(総合9位)
「4クラ目(=スポットで乗った最終レース)でやっと調子が出てきたよ(苦笑)。一昨日、福山で3クラ乗せてもらったけど、それまで2週間以上、調教でも乗ってなかったから、とにかく息が上がって、馬が追えないよ。今回の敗因は、ハッキリ言って、冬季休催のブランクだよ。今度こそ、内田利雄を負かせると思ったんだけどなあ〜、また負けちまったよ!何せ20年以上かけて1万数千回、彼に負けてきたんだから、本当にやんなっちゃうよ。まあ、見てなよ、来年は、あの表彰台の真ン中に立つからさ。 その前に、今年は道営のリーディング獲得かな?でも、北海道には北海道で、今度は五十嵐冬樹っていう、とんでもない強敵が居るんだよなあ……(苦笑)」

 ――とまあ、相変わらず、意気軒昂で……。
 更に山口竜騎手は、こっそりと主催者に次回の出場アピールしていた模様。


◎その他の騎手のコメントを取れただけ。

有馬澄男騎手(総合6位)
「今日は、一言、ガッカリだね。悔いが残る結果になってしまった。また、次回に期待という事で……(苦笑)」

鋤田誠二騎手(総合5位)
「最終的には、もう一つの成績でしたね。始めは、良かったんですけど……。まあ、それでも、一つ勝てただけでも良し、としましょうか」

濱口楠彦騎手(総合8位)
「とにかく最終戦の仕掛けどころでヘタを打ってしまった。それが悔しい」

鮫島克也騎手(総合3位)
「今日は楽しく乗れたので、何よりです。何で九州所属や出身の騎手が、騎手交流に強いか、って?さあ、それはちょっと、分からないなあ(笑)」

集合写真。
騎乗機会の都合で、一人居ませんけど、そこはスルーの方向で(笑)。

’08JBC開催へ向けて――

 これに先立ち、来年のJBCの開催が決定していた園田競馬場だが、この日は、WINS難波のほか、全国発売をしていたにも関わらず、目標最低ラインの3億に届かず。
 全国的に荒れ模様の天気で客足が鈍りがちだったとはいえ、これはかなり痛い。
 ついでにいうと、いかにして当日100名以上が押しかけると推定される報道関係者の為の、プレスルームの確保も課題になる。
 組合事務所の最上階の一室を充てていたが、どうも名古屋の悪夢が、頭をよぎる。
 実際、12日は未勝利馬の取材で相当数のマスコミがやってきて、てんやわんやだったようで……。
 あとは、専門紙の販売網の確保か?
 何せ、昨年の川崎開催でも前夜に新聞を手に入れるのに、首都圏でも相当苦労したという話を聞いているだけに、心配の種は尽きない。
 来年11月の開催(予定)だが、案外と残された時間は少ないのかも知れない。
 

おまけフォト。
朝の洗い場の光景です


このページの文章と写真の無断転載は、禁止します。

Special Thanks
Mr.H.I.&Ikari Stable