「地方競馬の雄」――この言葉は、この競馬場と特別区競馬組合のためにある言葉と云って良い。
施設及び運営の規模、競走馬の質・量、賞金等、どれをとっても地方競馬の中ではトップクラス。そして日本のダート競馬の総本山といっても大げさでは無いだろう。特別区競馬組合は、JRAと力の差が大きいにしても、単独で対抗できる唯一の主催者であると云って良い。品川区勝島にあるにも関わらず、「大井」競馬場というのは、ご愛敬。さらに云えば、今は駐車場になっているところが、昔、オートレース場だったことを知る人は少ない(なんと当時のオートレースはダートコースで行われていた!)。
多くの競馬ファンにとって、競馬といえば、やはりJRA主催のそれを指すのだろうが、実のことを云うと、現代の日本の競馬で常識となっていることの大部分は、TCKがJRAに先んじて導入している。
コースは南関東では唯一の右回り。3,4コーナーが分岐しており、このことで様々な距離の競走が組めるようになっている。世界的にも評価が高いとパンフレットには記載されているが、コーナーが見た目以上にキツいうえに直線も長いため、あの武豊をして「世界一難しい」と言わしめ、なおかつ同じセリフを多くの人間がいうあたりで、本当に乗りにくいのだろう。
昭和25年の開場直後にゴール写真判定装置を導入して以降、昭和28年には枠別の帽色とスターティングゲートを、昭和30年にはパトロールフィルム(レース中の悪さを監視するためのモノ)を採用しハード面の充実を図る一方で、昭和52年にはサラブレッド系3歳牝馬による重賞競走(東京3歳優駿牝馬)を新設し、翌53年には、外国から女性騎手を招待、さらに翌年には後のS.コーセン騎手を招待し騎乗させている。さらに快進撃(?)は続き、昭和61年には、今やすっかりお馴染みのナイター競馬・「トゥインクルレース」を初めて開催し、今や春から秋にかけ、それまでの客層とは異なるサラリーマン、OLといった層にもアフター5のレジャーとして定着している。そして、昨年にはワイド馬券をJRAに先駆けて導入し、来年10月には、持ち回り開催で行われるJBC(ジャパン・ブリーダーズカップ)の第1回の開催場に決定し、日本で初めて一日に2つのGTが施行される競馬場となる予定である。
また、CI(コーポレート・アイデンティティ)の一環からか、「TCK(東京シティ競馬)」という呼称を広報資料などに使用し、「That’s Urban Dirt」のキャッチフレーズと共に洗練されたイメージを前面に押し出している。
その一方で、どうみても某競馬会や世間に喧嘩を売っているとしか思えない「裏キャッチコピー」も秘かに展開していたりするあたりに、プライドの高さを感じさせる。
特別区競馬組合は、とにかく恨みを買っていることで有名な主催者でもある。何せ売上額=発言力の世界だから、色々とワガママも割と簡単に通るんでしょうね……。何せ統一GTのうち、3つがTCK施行だし……。JRAにしても、色々考えればTCK優先に付き合っていた方がメリットも大きいし、何せ安心感があるよな……。
また、ある程度は何もせんでも売り上げがあるもんだから、ファンの声が届きにくいということも、往々にして指摘されるのも確か。こちらとしてもTCKが動いてくれれば、他も動いてくれるだろうという計算の下、色々と考えているのですがね……。
――って知ってます?(笑)
主な所属騎手(かっこ内は主な重賞勝ち鞍、――線のあとは勝負服デザイン)
的場 文男……誰もが認める「ミスターTCK」。でも東京ダービーがどーしても勝てない。兄(信之)は佐賀の調教師。甥(直之)は同じ厩舎所属の騎手。基本的に大井、川崎を主戦場としているが、近年、船橋、浦和でも騎乗が増えている。どうやら本気で南関東リーディングを獲りにいっているようだ。(ダービーGP、東京大賞典、帝王賞、全日本アラブ大賞典=廃止、グランドチャンピオン2000他)――赤、白星散らし、赤袖
内田 博幸……少々強引なところが気になる。兄(秀一)も今年の春まで川崎の騎手。そのせいか時々川崎でも騎乗することがある。とにかく体重が軽いため、ハンデ戦の時はやたらと重宝される騎手。(マイルGP、ゴールデンティアラ賞、大井記念、金盃、アフター5スター賞他)――青、白袖、赤山形一文字
早田 秀治……近年、勝ち星は少ないが、大レースにやたらと強い騎手(昨年18勝のうち、5つまでが重賞)。他場でも忘れた頃に乗ってきて勝つ。一時期、武井姓の時期あり。(ジャパンダートダービー、オールカマー、東京ダービー、羽田盃、全日本アラブ大賞典(廃止)他)――紫、赤一本輪、白袖
佐宗 応和……(さそう・たかかず)と読む。恐怖の穴ジョッキー。勝ち鞍の多さの割に、逃げて差して人気薄を突っ込ませる傾向にある。というか人気を背負うと意外とダメということか?とにかく管理者は何度もヒドい目に遭わされている。(全日本3歳優駿、トゥインクルレディー賞)――紫、赤二本輪
鈴木 啓之……キャリアの割に恐ろしく若作り。昨年、赤間厩舎に所属変更してから、一段と成績が上昇。出身地が埼玉ということで浦和でも騎乗が多い。(東京ダービー、川崎記念、東京王冠賞、東京3歳優駿牝馬、大井記念他)――紫、赤山形一本輪、黄袖
宮浦 正行……東京都騎手会の会長で、地方競馬全体の騎手会長でもある。釣り好きで、かつて落馬事故で腰骨を折っているにも関わらず、病院を抜け出して釣りに行ってしまったという、「釣りバカ浜ちゃん」も真っ青なエピソードの持ち主。かつてのイナリワンの主戦騎手にしてハツシバオーで南関東3冠を達成した名騎手(……のハズ)。(ダービーGP、東京ダービー、東京大賞典、帝王賞、東京シティ盃他)――青、白星散らし、赤袖
注目の騎手
澤 佳宏……その昔「首都高速暴走事件」を起こしたスーパーオトメの主戦だったことから、小ブレイクしたことがある。一昨年、待望の重賞制覇を果たしている。(東京王冠賞)
達城 龍二……管理者としても「天才なのか、それとも――」と判断に迷っている。座右の銘は「ワラワレテ ワラワレテ 強クナル」。……。――黒、桃鋸歯形
立花 伸……父も騎手だったが、既に通算勝ち星を上回っている。座右の銘は「パックリコンだ!!」……これでTCKの未来は安泰だ?!――赤、胴黄星散らし、袖黄星直列
戸崎 圭太……若手の注目株。座右の銘は「パッカリコンだ!!」……これでTCKの未来は本当に安泰なのか?最近、突如として川崎、船橋で騎乗するようになっている。――青、赤星散らし、青袖
真島 大輔……父(元徳)は佐賀の調教師、伯父(正徳)はその所属騎手。祖父も調教師だったという文字通りの競馬一家に育つ。昨年デビューも勝ち星量産中――紫、黄山形一本輪、黄袖
主な所属調教師
赤間 清松……大井の名伯楽といえば、このお方。騎手時代もゴールデンリボーで南関東3冠を制した他、数多のビッグタイトルを獲得している。エスプレッソコーヒーが好物らしい。
蛯名 末五郎……ナミなどを現在管理している。
高橋 三郎……騎手時代は「大井のサブちゃん」の愛称で親しまれていた。ハイセイコーの大井時代の主戦騎手ということになっているが、実は6戦のうち2回しか騎乗していないのは、意外に知られていない。
福永 二三男……よく考えたら、この人もハイセイコーゆかりの人。他にイナリワンも管理していた。甥(祐一)が中央競馬の騎手なのは、あまりにも有名。
長沼 正義……悲願の東京ダービー制覇とTBS系「オールスター大感謝祭」の「人馬競走」勝利に、異様なまでの情熱を傾ける。2000年秋は、東プリ賞2着のベルモントルビーを投入、さらに主戦の的場直之から的場文男に鞍上強化させるという、「必勝」を通り越した「必殺」態勢で臨んだものの、なんとスタート直後に落馬し、またしても悲願達成ならず。この調子でいくと、本気でOP馬を投入しかねないな……。
庄子 連兵……一時、白毛馬ハクホウクンを管理していたことで有名。昨年、スオウリージェントでハイセイコー記念(旧・青雲賞)を制し、久々の重賞勝ち。
???
「佐々木の予想」……日本一有名な公認予想業者。船橋以外の3場に店を出している。予想だけでなく、主催者に対するご意見番としても有名。最近は寄る年波に勝てなくなってきたが、「渡辺の予想」亡き後、ますますその存在感がクローズアップされている。そろそろ弟子(毒舌)にのれん分けか?
「穴馬報知社」……公認予想業者としては、かなりの知名度を持つ。勿論、穴党好みの予想である。
「ゲートイン」……ここ数年、人気が高くなっているわりと新興の予想業者。
だいたいTCKの常連ファンは、この三派に分かれると思って良い。